門脈動脈同時塞栓療法について
血管造影を行いながら撮影するCT検査、通称アンギオCTを駆使して数ミリ大の早期のがんから進行したがんまで確実に治療を行うのが門脈動脈同時塞栓療法です。
門脈動脈同時塞栓療法
肝臓がんの標準治療の一つである肝動脈塞栓術(通称TACE)の質を極限まで高めた門脈動脈同時塞栓療法(Angiographic subsegmentectomy:AS)を用いて肝臓がんの根治を目指します。
岩本内科での門脈動脈同時塞栓療法の治療効果は、2010年、国際医学雑誌「Cancer」に掲載されました。
各ステージでの治療実績
ステージ1から3の肝臓がんに対する門脈動脈同時塞栓療法の成績を報告しています。
それぞれの5年生存率は下記のとおりです。
- ステージ1で74.22%
- ステージ2で66.21%
- ステージ3で39.90%
ステージ1で74%という数字は外科切除やラジオ波焼灼療法の治療効果に迫る治療効果です。
当院での門脈動脈同時塞栓療法は大きく以下のような特徴があります。
特長1
岩本内科での門脈動脈同時塞栓療法の特徴は、アンギオCTを駆使してがんの動脈を確実に見つける事が挙げられます。
通常の肝動脈塞栓術の場合は、血管造影の機械のみで治療を行いますが、これではがんの動脈を見つける事が難しい場合があります。
岩本内科ではこの血管造影に加えてCTを組み合わせる事で、がんの動脈をそれぞれ確認し、治療を行います。
特長2
治療後CT撮影を行い確実にがんの内部に薬剤が溜まった事を確認し終了します。
薬剤を末梢の門脈が描出されるまで流す事で、がんに関与する血管を確実に塞栓し、がんを壊死させる事が可能です。門脈動脈同時塞栓療法という名前はこれが由来です。
門脈動脈同時塞栓療法後、肝臓のがんの領域だけ切除したかの様に変化しています。根治的な肝臓がん治療を目指します。
門脈動脈同時塞栓療法の症例 1
門脈動脈同時塞栓療法CT 7cm 肝臓がん
造影CT 白色の薬剤が貯留
2回の門脈動脈同時塞栓療法後、4年間無再発
門脈動脈同時塞栓療法の症例 2
それぞれの癌の動脈から門脈動脈同時塞栓療法を行った。
肝細胞癌 外科手術後の多発再発 (Stage3)2014年
↓多発する肝細胞癌、12個の病変を確認
治療後のCT画像 白い治療薬剤が癌だけに貯留
2014年の最初の再発から、数回の再発を認めたが、2017年からは無再発。
手術の流れ
- 血管造影用カテーテルを挿入
- 肝臓の動脈を血管造影で撮影
- アンギオCTでがんの状態を把握
- 細いカテーテル(マイクロカテーテル)でがんの動脈まで到達
- 抗がん剤と塞栓物質をがんの動脈からがんへ投与
局所麻酔を行い足の付け根の動脈からカテーテルを挿入します。