肝癌の治療2

2014.01.05

おはようございます。

昨日は正月にもかかわらず忙しい外来でした。
家に帰ったのは3時がすぎていました。

私が30年以上頑張ってきた肝動脈塞栓術(TACE)は
今や普通の肝がんの治療ですが、平成2年の開業当時は
亜区域塞栓術を行っており、当時は治療効果を確かめるため
塞栓して外科切除をしてもらいましたが、亜区域塞栓術をきちんと
すると67%に完全壊死が得られることが分かり、外科切除群と
亜区域塞栓術のみの群とで生存率に有意差はありませんでした。
10年生存率は10%でとても満足できるものではありませんでした。

肝動脈塞栓術後もVEGFなどは上がりますので、中途半端なTACEは
かえって肝癌を広げる可能性があります。

いろいろ工夫しながら、肝癌の血行動態を利用して、担癌領域の
門脈と末梢の栄養動脈を同時に塞栓する門脈動脈同時塞栓療法に
たどりつき、3cm以下の肝がんは90%以上が完全壊死し、ステージIの
10年生存率54%、ステージIIでも30%を超えるようになり
トップクラスの治療成績となったのです。

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